
史上最大と言われる、ワインの偽造事件を取り扱った映画「すっぱいブドウ」(原題:「Sour Grapes」)。私も観ましたが、非常にリアルで、ワイン好きなら引き込まれる事、間違いなし。そのワイン偽造犯でコンティ博士ことルディ・クルニアワンが刑期を終え、アメリカを追放され、インドネシアに降り立ったそうです。今後の彼の動向が気になる所です。
「すっぱいブドウ」 2016年/イギリス 目が眩むような高値で取り引きされる高級ワイン。それが偽物だったとしたら…。高級ワイン詐欺の実態と、何百万ドルもの大金を鮮やかに欺し取った手口に迫る。
(以下 WineSpectatorの記事より)
米国移民税関捜査局によると、コンティ博士として知られるルディ・クルニアワンがインドネシアへ国外追放されました。彼が次にすることは、まだ謎です。
4月8日、アメリカ移民税関捜査局(ICE)の職員が、国外追放のルディ・クルニアワンをダラス・フォートワース空港の民間飛行便まで護衛しました。ICE速報によると、偽造ワインで有罪判決を受けたクルニアワンは、1回の乗り継ぎを経て、約24時間後インドネシアのジャカルタ郊外、スカルノ・ハッタ国際空港に到着し、20年以上にわたる米国滞在に終止符を打ちました。
かつてワイン収集家の間で名をはせたコンティ博士が次に何をするのかはわからない
中国系インドネシア人であるクルニアワン(44歳)は、会計の勉強をするために1990年代初頭にカリフォルニアに渡り、学生ビザでほぼ10年間滞在していました。2001年に彼は滞在申請をして、2年後にアメリカを離れるように命じられたのですが、彼がアメリカを離れることはありませんでした。
その頃の彼は、既にワインコレクター達が最高級のワインを共有するテイスティングイベントに参加しており、レアワインの世界で注目を集めていました。 彼がイベントに持ち込み、寛大に振る舞った高級ワインの数々は、おそらく彼の家族からのかなりの手当によって賄われていました。 程なく彼はアメリカやヨーロッパ中のセラーを精査し、収集価値のあるワインを探し出し、オークションや個人販売で何百本ものボトルを販売しました。 彼はコレクター向けのブルゴーニュワインやボルドーワインに惜しみなくお金を費やすことで知られるようになったのです。彼は特にドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティを愛していたようです。
またクルニアワンは、ひそかにコレクター達にワインを販売していました。2006年、Acker Merrall&Condit(香港の競売会社)での2つのオークション販売で、3400万ドル相当のワインを売ったとき、彼はワインディーラーとして頂点に達していました。その際の2番目のオークションの売上は、2470万ドルにもなりました。 しかし、それとは別にAckerオークションに委託されていた22ロットのドメーヌ・ポンソのブルゴーニュワインは、ワイナリーの4代当主であるローラン・ポンソ自身によって偽物と指摘されました。 どこでそのワインを手に入れたのかと尋ねられたとき、クルニアワンは曖昧に回避しました。 彼は代理のバイヤーを使うなどをして、その後もワインを売り続けましたが、訴訟好きなコレクターはすぐにそれが不正だと非難の声を上げました。
2012年に、FBIが彼の部屋のドアをノックしに来ました。 捜査官は、ロサンゼルスにあるクルニアワンの部屋のキッチンで、世界的に最もレアなワインの偽ラベル、カスタムされた刻印、ボトルの密封に使われる希少なフレンチワックスなど、偽ワインを作る製造ラインを見つけました。 証拠は、クルニアワンが偽造ワインを売買しているだけでなく、それらを作っていることを示唆していたのです。
2013年12月18日、連邦陪審員は、偽造ワインの販売と金融会社の詐欺でクルニアワンに有罪宣告しました。クルニアワンは約9年の判決の刑期を務め、2020年11月6日、連邦刑務局よりICEに身柄を引き渡されました。
What’s next? 次は何?
クルニアワンは、インドネシアに戻れば裕福な家族がいます。一部のコレクター達は、彼がワインの偽造を再開するのでは?と懸念していると述べています。 現在、オークション関係者やワイナリー、ワインコレクターは偽造ワインにいっそう警戒していますが、クルニアワンのような偽造犯がどのように活動しているかはまだまだ不明な点がたくさんあります。その後、FBIが追加で逮捕した者はなく、法執行機関がもう偽造ワインの取り締まりに諦めをつけたのではないかと多くの人が疑問に思っています。
まだ諦めていない人で、ビル・コッホという人物がいます。 エネルギー業界幹部の彼は、クルニアワンに対する訴訟で300万ドルの和解を勝ち取り、彼の情報源と共犯者の詳細を提供するという約束を勝ち取りました。 しかしクルニアワンは約束を果たしておらず、破産を訴え1セントも支払っていません。 コンティ博士のストーリーはまだ終わっていないかもしれません。
(以上、WineSpectatorの記事を抜粋、翻訳、編集しました)
![]() |
ドメーヌ・ポンソ クロ・ド・ラ・ロッシュ キュヴェ・ヴィエーユ・ヴィーニュ [2016]750ml 価格:65,318円 |
![]() |
ブルゴーニュ・ルージュ『キュヴェ・デュ・パンソン』 [2017] ドメーヌ・ポンソ 価格:6,380円 |
コメント