余った葡萄の搾りかすから健康サプリメント?
近年、サステナビリティを向上させる事はワイン生産者にとっても大切な課題となっています。多くの生産者や科学者が、持続可能な農業やワイン作りを模索する中で、葡萄の搾りかすの再利用に取り組んでいる人達がいます。ワイン作りの中で、この忘れられがちな廃棄物は、年間数千トンにもなると言われているのです。過去の研究では、グレープシードオイルがバイオ燃料や美容製品に使える可能性が示唆されていましたが、最近の研究では葡萄の搾りかすである、皮、茎、種子に含まれる化合物も健康補助食品に使える可能性がある事がわかりました。
カルフォルニア大学デービス校の研究者は、シャルドネの搾りかすには、さまざまな植物や人間の組織にみられる炭水化物の一種であるオリゴ糖が大量に含まれている事を発見しました。オリゴ糖に関する研究では、化合物が免疫と腸の健康の促進を助けると言われています。これは母乳に含まれる成分であり、乳児の腸内バクテリアに栄養を与え、病気に対する免疫力を高めるのに役立っています。
歴史的には、搾りかすはピケット(piquette)と呼ばれる薄めたワインを作るのに使われており、水と搾りかすを混ぜて収穫作業員に楽しまれていました。また、一部の醸造業者は、堆肥に使ったり、動物の餌に使っていました。搾りかすは葡萄の総重量の最大30%も占めるため、その処分には環境問題が懸念され、代替用途を探すために多くの努力がされてきたのです。
食品科学者のダニエラ・バリレ教授と、修士候補でこの研究の指導的立案者のアマンダ・シンロッドが率いる新しい研究では、搾りかすに含まれるどの化合物を有益に利用するかを究明する事で、廃棄物問題に取り組むことを目指しています。“これはすべて、持続可能なワイン作りと、葡萄のセカンドライフを見つけ出すことです“、“初期の研究結果では、搾りかすがオリゴ糖やその他の健康や栄養をサポートする化合物の貴重なソースとなる可能性を示しています“とバレリ氏は声明で述べています。
このチームは新しい持続可能なアイデアを開発するために、Jackson Family and Sonoma Ceuticalsと提携しました。ジャクソンよりシャルドネの搾りかすを集め、分子構成のテストを行なったところ、オリゴ糖のレベルが完成したワインより高い事を発見したのです。
“母乳に含まれる構造成分の存在を含め、シャルドネ種にあるオリゴ糖の多様性に驚きました“とシンロッドは述べています。
この調査結果は、廃棄されてしまうような材料を、栄養サプリメントに変えるという、新しいドアを開けるかもしれないという興味深い発見を示しています。“やるべき研究はまだまだある。しかし、初期の調査結果では、シャルドネの搾りかすは、健康をサポートするサプリメントや、他の食品の開発のソースになる事ができる事を約束しています“とバリレ氏は述べています。
(こちらは、WineSpectatorの記事を、抜粋、翻訳、編集したものです)
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