ワインの歴史と進化
ワインの世界はいつも混迷しています。ワインの歴史と文化は常に変化し、その移り変わりを追うのは、まるで終わりのない旅のようです。ここでは、ワインの歴史を「古典派」「モダニズム」「自然派」「ポストモダニズム」の4つの時代に分けて紹介します。それぞれの時代には、それぞれの製造方法や考え方、そして社会的背景があり、それぞれが良くも悪くも矛盾を抱えながら魅力的な要素を持っています。
古典派 – ワインの黄金時代
ワインの歴史を振り返ると、最初の時代は「古典派」でした。ワイン製造の基本ルールが確立された時代で、ワイン業界はその固定されたルールに従っていたように思います。ワインが持つ物語や逸話が豊富で、伝統と神秘性が重要視されていました。それぞれのワインには物語があり、神秘的な魅力で人々を惹きつけていました。ボルドーの格付けワインのようにヒエラルキーも明確で、多くのワインが伝統的な価値観によって裏付けされていました。多くの人々がワインについて知る知識の基盤となった時代です。
モダニズム – テクノロジーとビジネスの時代
1970年代初頭に「モダニズム」の傾向が現れました。この時代は技術が、または科学が答えでした。技術やビジネス志向がワイン業界を主導し、ワイン製造に多くの規則が設けられ、それらが一貫性と合理性をもたらしました。また、ワイン市場の国際化が進み、ビジネス志向が高まった時代です。お金に動かされていた時代と言ってもいいかもしれません。ワインに分かり易いスコアがつけられ、ワインに勝者と敗者を作り市場に興奮を生み出しました。少額のお金を払えば、スコアも金賞も取れるのに、多くの人がスコアに踊らされていました。市場の競争が激化し、醸造技術が向上し、消費者にとっても選択肢が増し、高品質なワインがいつでもどこでも手に入りやすくなった時代でもあります。カジュアルなピザ屋さんで飲むモンテプルチアーノにも、スパイスの香りがするようになりました。
自然派 – ナチュラルワインの革命
「自然派」ワインはモダニズムの対極に位置し、モダニズムの凝り固まったマーケティングに対する抗議の一環として始まりました。自然派ワインは、テクニカルな一方で反テクノロジー的な要素も持っていました。(まともなナチュラルワインは、「自然」には造れません)。また、非常にローカル志向でありながら、そのムーブメントは驚くほどにグローバルでした。そして本当の自然派ワインの革命は、これまでの慣習的なワインの美学を根底から覆したことでした。これによりワインの多様性が広がり、新たな風味が楽しめるようになったと言えます。明らかに欠陥のあるワインが堂々と出回っていることもありますが…。
ポストモダニズム – 現代のワインの世界
今、ワインの世界は完全にポストモダンです。規範も本当のルールもありません。規則や伝統は皮肉なパスティーシュ(作風の模倣)として存在し、ワインの物語は伝統があるようでないようで、歴史的でもあり、非歴史的でもあるようです。ワイン批評家は不要とされつつも、いたるところで存在感があります。ワインの世界は深い意味を持っているようで、すべてが表面的に構築されたもののように感じます。SNSでは、薄っぺらい情報が駆け巡り、皆で茶番劇に参加しているようにも見えます。これはワインが文化的に重要でありながら、実際の力を持たない現代社会に取り残された飲み物だからかもしれません。ただ、大切なのは、ワインの旅は続いているということです。ワインの歴史の移り変わりは、新しいことを学び、楽しむ機会を提供してくれています。ワインの多様性とポストモダンな魅力に魅了されながら、新たなワイン体験を追求していきましょう。
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