ワインの迷信と真実
アルコールは脳細胞を破壊する?赤ワインは白ワインより健康的?酸化防止剤が二日酔いの原因?ワインやアルコールにまつわるウソが本当かわかないような迷信を、少し調べてみました。
アルコールは脳細胞を破壊する?
ワインを何杯か飲んでいると、頭がちょっとぼんやりすることがあると思います。でも実際に脳細胞が死ぬわけではありません。ワインやビールに含まれるアルコールは細胞を傷つける能力はありますが、私たちの身体はそれを処理し、脳細胞への大きな損傷を防ぐ力を持っています。ワインを飲んでいる時や、飲んだ後に感じる身体の症状は一時的なもので、アルコールが体から排出されると消えています。
しかし、アルコール摂取中に神経細胞間のメッセージを運ぶ役割を持つ樹状突起と呼ばれる細胞が傷つく可能性はあるそうです。このアルコールの効果はニューロンの構造を変化させる可能性はありますが、細胞を完全に破壊するものではないとされています。ただし、未成年など発育段階でのアルコール摂取(胎児期や思春期など)や過度の飲酒は長期的な脳の健康に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要なのは言うまでもありません。とにかく、ワインを飲んで、脳細胞が壊れてバカになるということはなさそうです。
赤ワインは白ワインよりも健康的?
赤ワインは健康に良いとよく言われますが、白ワインはどうなのでしょうか?赤ワインが注目される理由は、その中に多くのポリフェノールが含まれているからです。ポリフェノールはぶどうの皮に多く存在し、そのためブドウの皮を一緒に漬け込んで造られる赤ワインに多く含まれています。
しかし、どちらが健康的かは健康の観点によると言えます。ある研究によれば、赤ワインを飲む人はHDLコレステロール(善玉コレステロール)のレベルが高いのに対して、白ワインを飲む人は血糖値が良好であることがしめされました。実際、ワインの健康への影響についてはまだまだ研究中で、赤ワインか白ワインかというお酒の種類よりも、アルコールそのものがもたらす効果の方が高いと言われています。健康のために赤ワインを飲んでいる方は、たまには白ワインを飲んでみてもいいかもしれません。
寝る前の一杯は睡眠に良い?
アルコールを摂取すると眠くなることがありますが、寝る前にお酒を飲むことはあまりお勧めではありません。確かに、アルコールの鎮静効果により、寝る前に飲むと速く眠りにつくことができ、一部のワインには睡眠補助剤として使われるメラトニンが多く含まれていることがあるそうです。しかし、その睡眠は質の高いものとは言えず、身体の休息と回復には向いていません。ある研究によれば被験者はアルコール摂取後、早い段階で深い睡眠がおとずれますが、後半は睡眠が妨げられ、目が覚める回数が増え、結果的に起きている時間が長くなったことが明らかになっています。適度な量なら大きな問題はないかもしれませんが、アルコールを睡眠補助として使うのはやめたほうが良さそうです。
亜硫酸が頭痛や二日酔いを引き起こす?
亜硫酸はワインの中で最も広く誤解されている成分の一つです。これらは天然に存在し、多くのワイン生産者が腐敗や酸化からワインを保護するために亜硫酸を使っています。たまに、「現地のワイナリーで飲むワインには酸化防止剤が入ってない」なんてことを言う人がいますが、そんなことはありません。日本だろうがフランスだろうが、ワインは酸化します。一部の人々は亜硫酸にアレルギー反応を起こすことがありますが、その割合は非常に少なく、人口のわずか1%未満と言われています。一般的にワイン中の亜硫酸の残留濃度は、多くの人が健康的だと思っているドライフルーツよりも低いです。亜硫酸は頭痛や二日酔いの原因とされることがありますが、これにも科学的根拠はありません。二日酔いの主な原因はアルコールの摂取量と速さに関連していることがわかっており、あと脱水も大きく関連しているとされています。アルコールを飲んだ後、水分不足になりやすいことがありますので、水分を多めに摂ることは二日酔い対策にお勧めです。
まとめ
今回は、ワインにまつわるウソと本当を、調べてみました。アルコールは脳細胞を殺すわけではなく、適度な摂取が脳の健康に利益をもたらす可能性すらあります。赤ワインと白ワインのどちらが健康的かは健康の観点により異なり、アルコール自体が効果をもたらす可能性もあります。
寝る前のワインは眠くさせる効果がありますが、質の高い睡眠には貢献しません。そして、亜硫酸が頭痛や二日酔いの原因ではなく、アルコールの摂取量と脱水が大きな要因となります。ナチュラルワインが健康的というのもイメージです。
ワインを楽しむ際は、科学的な情報に基づき、ワインを健康的に楽しみましょう。迷信に振り回されず、ワインの素晴らしさを楽しんでください。
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